オテラート金澤は、金沢の作家さんによる芸術祭です。会場であるそれぞれのお寺は、金沢の中心部周辺にあって行きやすさも特徴的。今回歩いてみて、金沢のお寺の多さに改めて驚きました。普段はあまり中に入れないお寺の中に入れるというのも魅力的です。
第10回の節目となる今年は、石川県をはじめ全国で世界で活躍される10名の招待作家作品の展示がありました。
各お寺で招待作家さんのお話が聞ける日があり、タイミングよく高源院で人間国宝の中川衛先生の講演を聞くことができました。
*【中川 衛 なかがわまもる】
1947年石川県生まれ。重要無形文化財「彫金」保持者。大英博物館やメトロポリタン美術館などにも作品が所蔵されている大先生なのですが、とても気さくな雰囲気の方でした。加賀象嵌(かがぞうがん)という伝統工芸の作品を創っていらっしゃいます。
中川先生は現代的なデザインの作風でも有名なのですが、日常生活の中からデザインを見つける、というお話しもされていました。柿の種子の形や、空になったキャラメルの箱で遊んでいたら、おもしろい形になって、それを作品に取り入れたなど、面白みを感じる感性がすばらしいです。発想するって、本当はすごく楽しいことで、「形」に対して、そういった「目」を持つと、世界は広がるのだと感じました。
お寺と作品をめぐる
それぞれの寺院群はそれなりに距離があるので、自転車かバスか、交通手段が必要です。しかし、地区それぞれの金沢らしい特徴があるので散策もおススメ。
浅野川地区(聞善寺・崇禅寺・廣誓寺)
- 崇禅寺 souzenji 珍しい神仏混合のお寺。曹洞宗。作品が溶け込んでいます。
- 聞善寺 monzenji 浄土真宗。お経が書いてあります。
- 廣誓寺 kouseiji 曹洞宗。夜に伺ったので、照明の効果がとてもいい雰囲気。
東山地区(全性寺・観音院・浄光寺)
- 観音院 kannonin 高野山真言宗のお寺。護摩壇を見つめる何か…
- 全性寺 zenshoji あかもんでら、と言われる日蓮宗のお寺。
- 浄光寺 jokouji 浄土真宗。中は近代的で涼やか。
寺町地区(興徳寺・常松寺)
- 常松寺 joshoji 曹洞宗。雪つりに見立ててあるそうです。
- 興徳寺 koutokuji 鬼子母神さまの強烈な存在感のあるざくろのお寺。日蓮宗。
小立野地区(天徳院・棟岳寺・高源院)
- 天徳院 tentokuin 珠姫さまの菩提寺。曹洞宗の大きなお寺。
- 高源院 kogenin 曹洞宗。見晴らしが最高です。
- 棟岳寺 tougakuji 曹洞宗。キャプションを読むのも楽しい。
作品がたくさんあるので一部だけ。各お寺にいらしゃった作家さんたちともお話しができて、すごく楽しい時間でした。
もっと知りたくなった金沢
お寺とアートを巡る金沢歩きは、普段の風景を変えてしまうようでした。
(棟岳寺から)
このように多種多様な作品といろんな宗派が集まってひとつのイベントを為しているので、感じるものが多く、地元でありながら異国の旅行のようでした。そもそも他宗派同士というのも、あまり交流がないものらしいです。
一年がかりの準備で毎年開催しているとのことなので、オテラート金澤2020も楽しみです。あと、お寺や伝統工芸は、金沢の歴史がなんとなくでも頭に入っていると、もっと楽しめそうな気がしました。それを頭のすみに置きつつ一年を過ごしてみるのもいいかもしれません。
【オテラート金澤website】
『2020年開催予定』https://www.oterart.com/
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