極上の昼酒に酔える場所
金沢市・柿木畠。金沢市役所の裏手・21世紀美術館近くにある「 更科 藤井 」。江戸三大蕎麦と評される「藪」「砂場」「更科」。そんな老舗蕎麦店の一つである、「更科堀井 麻布十番本店」で修行された店主が切り盛りするお店です。
江戸の蕎麦文化が育んだ確かな味の蕎麦は、それまで蕎麦屋不毛地帯とさえ言われていた金沢で、一気に人気を集め、金沢を代表する蕎麦屋として知られることとなりました。
しかし蕎麦の旨さは、「 更科 藤井 」の魅力の一部であり、麻布界隈で昼酒のメッカと呼ばれる「更科堀井 麻布十番本店」で修行をされた店主が作り上げたこの空間自体こそに価値があり、色気があります。
簡素ながら粋な肴でちびちび酒をやれる空間。この空間で味わえる多幸感は、そこいらの居酒屋では味わえないもの。
今回はあえて、蕎麦については軽く触れる程度にして、極上の昼酒に酔える「 更科 藤井 」の名肴の数々をご紹介していこうと思います。
平日昼。背徳感と優越感に浸る。
訪れたのは平日の昼間。まさに蕎麦屋酒にぴったりの時間。店内は満席。
蕎麦屋酒を楽しみにきた事を告げ、おまかせで何品かご用意していただきました。「 菜の花 と のどぐろ 」
菜の花に春の訪れを感じます。のどぐろは軽く炙ってあり、旨味と香りが引き出されています。
今回ご用意していただいたのは、「 だし巻き ふきのとう 」。ふわっふわのだし巻きの中に、ふきのとう味噌が入っております。このふきのとうの味噌、美味です。そんな「 だし巻き 」とともにいただくのは、もちろんこれ。日本酒です。何種類か日本酒があるのですが、こちらは「黒帯」(常温)です。
続いては「焼き鳥」。
しっかりとした味わい。お酒が進みます。春野菜の「筍」をはじめとしたお野菜もまた美味。わさびの新芽(せんな)。
わさびのツーンとくる辛さが大好きな筆者にとってはたまらぬ一品。日本酒のピッチがさらに加速します。
そこで次の日本酒を。こちらは店主の地元・能登の日本酒「竹葉」。蕎麦との相性を高めるため、「更科 藤井」用の「竹葉」を特別に用意してもらっているそうです。スッキリした味わいで大変美味しいです。
「 天そばの蕎麦ぬき 」
ちょっと濃いめの汁を楽しむための「抜き」は、ちびちびとお酒を飲みたい江戸っ子が編み出した酒飲みメニュー。この日の天ぷらは、そら豆、ふきのとう、甘エビ。美味しい以外の言葉が出てきません。
単なる焼き海苔ではありません。
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海苔を湿気から避けるために箱の底には炭火が仕込まれています。焼き海苔の究極の食べ方ここにあり !! といった感じでした。ちなみに海苔はわさび醤油などにつけていただきます。
もう説明は特にいらいないでしょう。
美味しいです。
最後は蕎麦湯でほっこり。
店を出ると、太陽の明るい日差しが。
そうか。
こんな昼間から、美味しい酒と肴を心ゆくまで楽しんだのか…。
多少の背徳感と、多量の満足感とともに、店を後にしたのであります。
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