金沢時間

キーワードは「 ハーブ 」と 「 福祉 」。これが石川版「 農福連携 」だ !!

金沢市内から車で30分ほどの河北潟干拓地にあるハーブ農園ペザン。全国でも珍しいハーブ栽培に特化したこの農園で、50種類ほどのハーブが農薬や化学肥料を使わずに栽培されています。

そんなハーブ農園ペザンの協力を得て、金沢市にある株式会社クリエイターズが開設した就労継続支援B型事業所「リハスファーム」。

石川版の「農福連携」の代表例として、さらに全国的にも珍しい「 農家 」と「 就労支援施設 」が共同で運営・支援していくという形の「農福連携」として注目を浴びています。

※ 農福連携とは :担い手不足からの耕作放棄地の増加などといった農業の課題と、仕事がない・工賃が低いといった福祉の課題をマッチングすることで、互いの課題を解決しようという活動。地域の活性化・町づくりにつながる活動として注目を集めています。

 

なぜ “今”「農業」なのか !?

リハスファームに登録されている障がい者の数は約20人。1日あたり約10人がハーブ栽培に従事します。もともと福祉と関わりはなかったペザン。そんなペザンが農福連携に乗り出したきっかけは、金沢市内で障害者の就労支援事業所を運営する株式会社クリエイターズの藤島健一さんとの出会い。

藤島さんはもともと精神科病院で働いていた作業療法士。

私たちがあまり知らない精神科病院の現場は、結構カルチャーショックだったと語ります。

「鍵がかかった部屋で30年〜40年生活しているという人もいます。その人は世の中のことは何も知りません。テレビで外の世界を見ることはあっても、実際に外に出て美味しいものを食べたり、服を買ったり、旅行をしたり、誰かと付き合ったり、そういったことを一切せずに過ごしてきたのです。人だけど人じゃないような、人格が崩壊していてコミュニケーションもとれなくて感情もない。そんな人が世の中から隔離されているような世界だった」と振り返ります。

そういった精神科病院で行われるリハビリの一つが「農業」。脳内のホルモンバランスが崩れることで発症する精神的な病気は、セロトニンという物質が分泌されることで症状の改善を見ることができます。

土に触れること、太陽の光を浴びること、汗を流すこと、朝早く起きること、これらの活動すべてがセロトニン分泌に効果的であり、それは科学的にも証明されているそうです。

今から3年半前、

「地域の中で障がいを持った方もご病気になった方も自立して生きていけるような支援を行う」

そんな福祉サービスを提供したいという思いのもと、金沢QOL支援センター株式会社(訪問介護、デイサービス事業を運営)の岩下 琢也さんと共に、リハビリ型就労スペース「リハス」を立ち上げた藤島さんは、障がい者たちの新たな活躍の場としての「農業」に以前より注目していたそうです。

一方、「 ヨーロッパに行くと農家が福祉を雇うというのは当たり前です。さらにそもそも農家というのはただ生産する所ではなく、1つのコミュニティーだったり、社会だったりする。その社会の中に福祉がいて当然だし、農業自体が人間を育てる場でもある」と語るのはハーブ農園ペザンを運営する株式会社ポタジェの澤邊友彦さん。そんな両者の出会いから、話はとんとんと進み「リハスファーム」が立ち上げられ、全国でも珍しい「農家 」と「 就労支援施設 」が共同で運営・支援していくという形態の「農福連携」がスタートしました。

ここで働くようになって、みんな変わってきた

昨年4月に始まった「リハスファーム」。

この1年で、リハスファームで働く障がい者達に目に見える変化が起こったそうです。幻聴が聞こえていた障がい者の幻聴がなくなったり、今まで問題行動があった人の問題行動がなくなったそうです。「農家」と「福祉」という立場が異なる者が、共同でファームを運営することは簡単なことではありません。だからこそお互いの思い・方針を大切に、話し合いを重ね、お互いがしっかりと噛み合っている状態で運営することを意識しているそうです。

石川版の「 農福連携 」は、一般的に言われる「 農業人口の減少による担い手不足解消 」といったメリットを農家にもたらすだけでなく、「 農業の質を高める 」ことにも大きく寄与しています。特にハーブ栽培のような機械化による大量生産に削ぐわないものの栽培には「人の手」が不可欠です。障がい者の人は手仕事を黙々とできるため、高い品質を維持したハーブ栽培に大きく貢献しているそうです。

リハスファームで働く約20人が抱える障がいはそれぞれ異なります。そしてここで働く目的も違います。純粋に農業をしたいという人もいれば、一般就労を目指している人もいます。

石川版「 農福連携 」である「 リハスファーム 」の活動が、少しずつ、しかし確実に障がいのある人たちの将来の可能性を広げています。

 

ライター

金沢時間 編集部
金沢時間編集部です。

「金沢時間」は、金沢に暮らす人に向けて、町のトレンドやグルメ・イベントなど、日々の生活がちょっと楽しくなるような話題を、市民目線で発信していく地域密着型WEBマガジンです。

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