東京で、金沢みーつけたっ! 東京駒場の旧前田侯爵邸

しかし昭和16(1941)年に第二次世界大戦が勃発。昭和17(1942)年に前田利為侯はボルネオ方面軍司令官として従軍中、不慮の死を遂げました。その後ご家族も他へ移り、昭和19(1944)年には邸宅の一部に中島飛行機の本社が疎開してきました。 

中島飛行機は当時零戦などを作っていた会社で、現在のスバル(旧富士重工業)の前身ですが、空襲を避けるために駒場に疎開したのですね。 

終戦後、駒場の前田侯爵邸はGHQ(アメリカ連合国軍総司令部)に接収され、アメリカ極東軍ホワイトヘッド空軍司令官などが官邸として使用しました。そして昭和32(1957)年に接収が解除され、昭和38(1963)年に公園になることが決まりました。

昭和42(1967)年に旧前田邸は東京都立駒場公園となり、昭和50(1974)年に東京都から目黒区に管理が移管されました。洋館は昭和42(1975)年に『東京都近代文学博物館』になりましたが平成14(2002)年に閉館しました。

しかし閉館後も『ライアーゲーム』『華麗なる一族』『のだめカンタービレ』など、数々のドラマのロケ地として使用されたので、皆さんもどこかで見たことがあるかもしれませんね。

『ライアーゲーム』ではライアーゲーム事務室、『華麗なる一族』では安田太左衛門邸、『のだめカンタービレ』では佐久桜の家として登場したそうですよ。

 http://www.locationbox.metro.tokyo.jp/catalog/culture/005256.php

旧前田侯爵邸は平成25(2014 )年に国の重要文化財に指定されましたが、平成30(2019 )年9月末(予定)まで保存工事のため休館中です。開館したら是非訪れてみてくださいね。

実はこの駒場の前田侯爵邸を建てた前田家16代当主・前田利為侯爵は、昭和11年になると鎌倉にもハーフティンバー様式とスパニッシュ様式を合わせた別邸を建てました。こちらは現在鎌倉文学館として利用されており、中に入って見学することが出来ます。

鎌倉文学館HP http://www.kamakurabungaku.com/index.html

鎌倉の前田家別邸は、相模湾を見下ろす谷戸の中腹にあり、バルコニーからはゆるやかに下る芝生の庭と見事なバラ園、その先に鎌倉の街並みと青い海が見下ろせます。

この洋館は佐藤栄作元首相が別邸として使用したこともあり、川端康成や小林秀雄、永井龍男などの文学者達も多数訪れたそうです。また三島由紀夫も前田別邸を訪れて取材し、小説『春の雪』の一場面に登場させました。

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「青葉に包まれた迂路を登りつくしたところに、別荘の大きな石組みの門があらわれる。(中略)先代が建てた茅葺きの家は数年前に焼亡し、現侯爵はただちにそのあとへ和洋折衷の、十二の客室のある邸を建て、テラスから南へひらく庭全体を西洋風の庭園に改めた。」

                「春の雪」より 『決定版三島由紀夫全集』13 新潮社

前田家が残す文化遺産は、どれもその時代の最高を極めたものだと思います。だから特に高い価値があるのだと思います。前田家の偉業は計り知れないと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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